2020年 新食品表示について
食品表示については、これまで複数の法律で定められており、非常に複雑なものでした。
事業者にも消費者にもわかりやすい制度にするため、食品衛生法・JAS法・健康増進法の3法の食品の表示に係る規定を一元化し、「食品表示法」が2015年4月1日に施行されました。
現行制度からの主な変更点
- 加工食品と生鮮食品の区分の統一
- 製造所固有記号のルール改善
- アレルギー表示のルール改善
- 栄養成分表示の義務化
- 栄養強調表示のルール改善
- 栄養機能食品のルール変更
- 原材料名表示ルールの変更
- 販売用途の添加物表示のルール改善
- 通知等の表示のルール規定
- 表示レイアウトの改善
この中でも、スーパーマーケット デパ地下 専門店(小売業)様で知っておくべき新食品表示の主な変更点は以下の5つです。
① 加工食品と生鮮食品の区分の統一
② アレルギー表示のルール改善
③ 栄養成分表示の義務化
④ 原材料名表示ルールの変更
⑤ 表示レイアウトの改善
以下、解説していきます。
①加工食品と生鮮食品の区分が JAS 法に基づく区分に統一
食品表示法では、JAS法と食品衛生法で異なっていた生鮮食品と加工食品の区分を、JAS法の考えに基づき統一・整理しました。
これにより、従前の食品衛生法では「生鮮食品」として扱われていた軽度の撒塩・生干し・湯通し・調味料等により、簡単な加工等を施したもの
(例:ドライマンゴー、干しぶどう、乾しいたけなど) について、今後はJAS法の考えに基づき「加工食品」としての表示が必要になります。
その結果元々あった名称、原材料名、添加物、消費期限に加え新たに、アレルギー、製造所等の所在地等の表示義務が課せられます。
生鮮食品と加工食品の区別(一例)
「製造者」「加工者」の定義の統一
従来の食品衛生法では、加工食品の切断・整形・選別などの「形態の変更」や、加工食品の盛り合わせ・小分けといった「容器包装の変更」など、加工食品に本質的な変更を施さない行為を行った場合でも、全て「製造」の行為に該当していました。
しかし、新しい食品表示法では、これらの行為は「加工」行為に分類されました。
今後はこれらの行為を行った業者は「製造者」ではなく、「加工者」としての表示が必要になります。
② アレルギー表示のルール改善
アレルギー表示に関する法律は「食品衛生法」によって定められていました。
しかしながら食品の表示全般に関わる制度が複雑で消費者や事業者にとってわかりにくい点も多く、統一の必要性がありました。
そのため、食品表示法では、これらの問題を解決するためルールの統一・改善が行われました。
アレルゲンについて
「えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)」は特定原材料として、表示が義務付けられています。(2024年くるみが特定原材料に追加)
表示の義務はないですが、「特定原材料に準ずるもの」として表示が勧められているものは20品目です。(2019年9/19 アーモンドが追加、2024年3/29マカダミアナッツ追加、まつたけ削除)
- アーモンド
- あわび
- いか
- いくら
- オレンジ
- キウイフルーツ
- 牛肉
- さけ
- さば
- 大豆
- 鶏肉
- 豚肉
- マカダミアナッツ
- もも
- やまいも
- りんご
- ゼラチン
- バナナ
- ごま
- カシューナッツ
2019年9月19日に消費者庁はアレルギー表示について「アーモンド」を推奨品目(特定原材料に準ずるもの)に追加するよう規定を改正しました。
また、2024年3月29日新たにマカダミアナッツが追加され、まつたけが削除されました。
表示の義務はないといっても、これらの20品目もアレルゲン物質であることに変わりなく、症例数や重篤な症状を呈する人数も相当数存在します。
アレルギーを持っている消費者は書かれていなければ入っていないと認識してしまう虞もあるため、義務はないといっても表示できるのであれば表示するのが好ましいでしょう。
アレルギー表示のルール
原則として、それぞれ の原材料の後にカッコ書きする方法(個別表示)で特定原材料を記載します。
特定加工食品の拡大表記が廃止され、従来ルールでは、特定原材料を原材料として含むことが容易に判別できる「特定加工食品」(マヨネーズと書けば、アレルギー物質の卵、うどんと書けば小麦)の表記は免除されていましたが、新基準では表記の必要が有ります。
また、アレルゲンの表示は、原材料に含まれるか添加物に含まれるかによっても違いがあります。
特定原材料及び特定原材料に準ずるものを原材料として含んでいる場合は、原則、 原材料名の直後に括弧を付して特定原材料等を含む旨を表示します。 なお、特定原材料のうち「乳」については、「乳成分を含む」と表示します。
特定原材料等に由来する添加物を含む食品の場合は、原則、当該添加物の物質名と、その直後に括弧を付して特定原材 料等に由来する旨を表示します。 なお、特定原材料のうち「乳」については、「乳成分由来」ではなく、日本語的な意味合いから「乳由来」と表示します。
原則表示の例
但し、表示面積に限りがあり、個別に記載が出来ない場合は、例外として原材料と添加物の直後にまとめてカッコ書きする方法(一括表示)が可能です。
一括表示の例
代替表記
特定原材料等と具体的な表示方法が異なるが、特定原材料の表示と同一のものであると認められるものにあっては、その表示をもって特定原材料等の表示に代えることができます。
例:卵を「たまご、玉子」、乳を「 ミルク、バター、バターオイル、チーズ」の表示をもって、「卵を含む」「乳成分を含む」の表示を省略することができます。
コンタミネーション
原材料として特定原材料を使用していない食品を製造等する場合であっても、製造工程上の問題等によりコンタミネーションが発生することがあります。
他の製品の特定原材料が製造ライン上で混入しないよう十分洗浄するなどの対策を徹底するのが原則ですが、これらの対策の徹底を図ってもなおコンタミネーションの可能性が排除できない場合については、注意喚起表記が推奨されます。(注意喚起表記は枠外に表示する必要があります。)
例:「本品製造工場では○○(○○は特定原材料等の名称)を含む製品を生産しています。」
可能性表示の禁止
「入っていない」ものを表示することは一切認められていません。
また、「入っているかもしれない」といった可能性表示も認められていません。
そのため、なにが入っているかを明らかにし、表示する必要性があります。むやみにアレルゲンを表示することは認められていないので注意が必要です。
③ 栄養成分表示の義務化
原則として全ての加工食品に、熱量及びたんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(「食塩相当量」による表示)の5成分を表示することが義務付けられました。
④ 原材料名表示ルールの変更
原材料の原則として、どんなに少量でも、すべての原材料を表示する必要があります。
食品表示法では「「原材料名」「添加物」の項目を設ける」、または、原材料名欄 において「/」「:」「改行」などで区切りを行い、原材料と添加物を明確に区分し表示することになりました。
記載順は、原材料に占める重量が高いものから順に表示していきますが、一般的な名前での表示が必要で、原材料と添加物は分けて記載します。
(添加物についても重量が高いものから順に表示します。)
従前、食品添加物以外の原材料と食品添加物を区分せず記載していたパン類、ドレッシング及びドレッシングタイプ調味料、風味調味料、食用植物油脂も、食品表示法では上記の記載方法により表示することになりました。
複合原材料(2種類以上の原材料で構成される原材料)
複合原材料は別に定める表示ルールにより表示します。
なお、複合原材料を使用した場合に、複合原材料の一般的な名称が存在する場合や、性状に大きな変化がある場合は、元の原材料に分割して表示することはできません。
表示方法が定められた食品
「食品表示基準」別表第4で原材料名の表示方法が定められている食品は,その方法に従って表示する必要があります。
⑤ 表示レイアウトの改善
ここでは、加工食品を配合して販売する場合にフォーカスを当て、説明していきます。
加工食品に必要な表示
加工食品に必要な表示項目は 食品表示基準第三条一項に定められています。
品目によっては必要なものとして、食品表示基準第三条二項に定めがあります。
特例
1.面積的特例として表示可能面積が30㎠以下の場合、以下の表示を省略することもできます。
※表示可能面積とは、表示事項を表示しても判読が困難な部分を除いた、容器包装の表面積のことです。
裏を返せば、表示面積がおおむね30㎠以下の加工食品も、安全性に関する表示事項については省略不可となります。
安全性に関する表示事項は以下の5つです。
また、「食品を製造し、又は加工した場所で販売する場合」「不特定又は多数の者に対して譲渡する場合」には、以下の表示事項の表示は省略できます。(食品表示基準五条)
お弁当・お惣菜で表示すべき事項
省略特例などと色々有りますが、結局のところ、スーパー・デパ地下・小売り(デリカ)様などの実際の現場で必要な表示ですが・・・
製造・加工した場所(インストア製造等)で販売する場合は以下の表示
製造・加工場所以外での販売(センター・工場・仕入れ商品)の場合は以下の表示
実際の表示とこれから求められること
一例としての表示ですが、
工場・センター・アウトパック
インストアで省略してよい項目(赤字)
極端な例ですが、インストア販売での最小表示を作るとすると
このように最小表示をすることもできますが、センター・仕入れ商品には、栄養成分が表示されているのに、インストア商品には栄養成分が書かれていないと消費者の方はどう思われるか、という問題もあります。
近年、消費者の食品に対する関心の高まりから、表示義務以上の情報を求める傾向にあります。
事業者の皆様が食品に関する表示義務以上の情報を積極的に消費者に提供することは、消費者の選択の手助けになります。
しっかりとした食品表示は消費者との信頼関係を深めるために、今後重要な要素になり得ます。
これから
ご紹介させていただいたのは食品表示法の一部です。
2020年には、食品表示の移行を済ませる必要があります。
移行期間は新表示と旧表示の混在は認められていないため、対応していくためには早めの準備が必要です。
Food CASは、スーパーマーケット・デパ地下・デリカ小売店の表示作成に特化したシステムです。
商品レシピ(配合表)の作成を行うだけで、食品表示に必要で難しい項目
- 重量順に並べた原材料
- 集約、重複させず重量順に並べた添加物
- アレルギー一覧(特定原材料7品目+推奨20品目)
- 栄養成分表示(計算値)
まで、全て出来上がります。
表示を作成する事に特化したシステムですので、大変作業性が良いと多くのご指示を頂いております。
Food CASシステムにご興味のある方は ↓↓↓
お気軽にお問い合わせください。092-985-9450受付時間 10:00 - 18:00 [ 土日・祝日・年末年始を除く ]
お問い合わせはこちら お気軽にお問い合わせください。